【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい



 バーンッと青空に白煙だけの花火があがった。

 いよいよ体育祭当日。
 グラウンドに足を踏み入れれば、いくつものテントが立ち並び、カラフルな万国旗が風になびいている。カラフルに彩られたグラウンドは、登校した頃にはすでに体操着の生徒で溢れていた。
 グラウンドから立ちこめる熱気に目を細めたその時。

「なにぼーっとしてんだよ。もう暑さにやられたか」

 背後からポニーテールをくいっと引かれ、降ってきた声。低くてつんけんとしたこの声は。

「おはよう、皇くん」

 振り返れば、やはり皇くんが立っていた。
 ポニーテールが珍しいのか、わたしの髪を弄びながら皇くんが相変わらずの悪態をつく。

「今日、クラスの足引っ張ったらただじゃおかねぇからな」
「皇くんもね」

 今はなんだかそのいつもと変わらない皇くんになぜか救われたような気になって、思わず頬が綻ぶ。するとそれが移ったみたいに、皇くんも白い歯をこぼす。

「言うようになったじゃん」
「へへ」
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