極上パイロットが愛妻にご所望です
 九月に入ったとはいえ、まだまだ夏のような暑さで、カフェに着いたとき室内の涼しさに「ふうー」と脱力した。

 窓際の四人がけのテーブルに座っているふたりを見つけ、近づいてきた店員に「あそこに友人が」と声をかけて歩を進める。

「お待たせっ!」

「砂羽、お疲れー」

 ふたりは私と違って疲れた様子もなく、元気そうだ。

 私は友莉子の隣に座り、通りがかった店員にアイスコーヒーを頼む。ふたりの飲み物はまだ半分くらいある。

「久美。今朝、城田機長はヘルシンキ便だったわね」

「あ、会った?」

「チラッと見かけただけ。颯爽と歩いていてカッコよかったわ」

 そう言うと、久美の頬がポッと赤らんだ。

 久美はもともと華やかだったけれど、既婚者になってからは落ち着いた美しさのある人妻になっている。

 友莉子は肩甲骨まであったブラウンの髪をばっさりショートヘアにしていた。

「髪を切ったのね? なにか理由があって?」

 彼女は小さく笑って、「気分転換にね」と言う。

 そこへアイスコーヒーが運ばれてきて、暑さで喉が渇いていた私はストローをさすと一気に半分近く飲む。

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