極上パイロットが愛妻にご所望です
 城田さんも甘いマスクのイケメンで、CAやGSに人気があり、いろんな女性から妻の座を虎視眈々と狙われていたようだ。
 
 結婚を公表したのは約半年前で、私がAANに入社した直後。

 久美は容姿端麗で仕事ができるから、先輩CAから面と向かってねちねちと嫌味を浴びせられることもなかったようだけど、それでも文句を言いたい人はいたようだ。

 城田さんを狙っていたCAの陰口は免れなかった様子で、私も食堂で聞いたことがあった。

 私は新人という立場上、陰口をたしなめることもできず、悔しかったことを思い出した。
 
 先ほどのCAたちの視線を思い出す。

 本当に、どうして私のIDを見たの……? まさか、あれくらいで妬まれたりしないよね? 

 それにしても、間近で見る桜宮さんは迫力のあるイケメンだったな。

 そこで私はハッとする。
 
 搭乗までもう少し。近くのベンチには搭乗を待つ乗客たちが座っている。
 
 桜宮さんの謎の行動で暴れる私の鼓動は、まだ止まっていなかった。
 
 でも今は桜宮さんのことを頭から切り離し、迫ってくる搭乗時間のほうに集中しなければ。
 
 気持ちを切り替え、カウンターに入るとマイクのスイッチを入れて、搭乗案内をアナウンスした。
 
 それから私はゲートに戻り、住田くんの後ろで、エコノミークラスの乗客のパスポートチェックと、搭乗券を機械に通す作業を見守る。
 
 今回、車いすなどの特別な手伝いはなく、スムーズに業務を進められた。
 
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