極上パイロットが愛妻にご所望です
 そんな幸せいっぱいで過ごしている私は、心の奥底で若干の不安を覚えながらも、愛している朝陽とこの先も一緒に過ごせると思っていた。

 でも、それを覆すときは意外に早くやってきた。早番の仕事が終わり、社屋を出たところで私は男性に声をかけられた。

 かっちりとスーツを着た彼は、中肉中背で、私の父親くらいの年齢に見える。

「失礼ですが、水樹砂羽さんですか?」

 なぜ見知らぬ男性にフルネームで呼び止められるのだろうか、と考えてしまい、返事が遅れると――。

「AANグランドスタッフの水樹砂羽さんですよね?」と、再度確かめられた。

「……はい。そうですが?」

 嫌な予感がして、男性の顔をジッと見つめた。

「桜宮朝陽氏の件で話があります」

「朝陽の……?」

「はい。私はリチャード・シモンズ氏から交渉役を依頼されました、弁護士の真(ま)鍋(なべ)と申します」

 真面目そうな黒縁眼鏡をかけた真鍋さんは、名刺を私に手渡す。

 シモンズ家……嫌な予感的中。

「一緒についてきてくれませんか?」

 嫌だと言いたかった。だけど、やはりそれはできずに話を聞くことに。

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