極上パイロットが愛妻にご所望です
 政略結婚……AANの御曹司とアメリカの大手航空機メーカーのシモンズ家の令嬢ならば、これ以上ない組み合わせ。

「なにも水樹さんばかり損はさせません。アメリカの大手航空会社のCAとして働けるようにしますし、かなりの金額も支度準備金として支払われます」

 CAの話を持ち出すなんて……私のことを調べつくしているに違いない。

「悪い話ではないと思いますよ。どのみち、桜宮家はおふたりの結婚を反対するでしょう。もしふたりが別れず、AANを辞めたりしたら、桜宮氏が人生を懸けているパイロットの仕事を、世界中どこに行ってももう二度とできないように手を回します」

「ひどい……なんてことを……」

 私は唖然となって、真鍋さんの眼鏡の奥の瞳を見つめた。

「一週間、待ちます。こちらまで連絡をください。何時でも構いません。真夜中でも。お待ちしております」

 猶予は一週間だけ……。

 私は茫然としながら、椅子から立ち上がり、その場を離れた。
 

 自宅のベッドに力なく座ると、肩から提げていたバッグが布団の上にドサッと落ちる。

 視線はテレビ横に飾ったいくつかのフォトフレームへ行く。そこに朝陽と行ったカナダの写真が入っていた。

 
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