極上パイロットが愛妻にご所望です
 中でもオーロラをバックに並ぶ私たちのシルエットの写真が気に入っていて、毎日飽きずに眺めているけれど、今はそれを見るのがつらい。

 フォトフレームから目線を逸らして、ベッドに身体を横たえた。

 私ではハンナさんに太刀打ちできない……朝陽の愛だけではダメなのだ。

 別れなければ、シモンズ社は手を緩めないだろう。そうなればAANが困窮した状況に陥ってしまう。

 私が身を引けば……。私がいたら彼の邪魔になるだけ……。

 そう考えた瞬間、心臓がズキッと痛んだ。

 朝陽……。

 瞼を閉じると、鮮明に彼の姿が映し出される。いろいろな桜宮朝陽を。

 迷惑はかけられない。朝陽の苦しむ姿なんて見たくない。

 一週間以内の返事……答えは出したくないけれど、どう考えても、私たちは別れる道しかないのだ。

 別れることを考えると、つらくて、胸が苦しくて、嗚咽を堪えられなかった。

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