極上パイロットが愛妻にご所望です
***

 テーピングを巻けば痛みは和らぐはずだと比呂に言われ、休憩時間に食事をしてから医務室へ向かった。
 
 社屋の三階にある医務室で、右手を年配のベテラン産業看護師に診てもらった。
 
 腱鞘炎の疑いがあり、詳しくは病院へ行くようにとの見解だ。勤務中ということもあって、湿布は貼らずにテーピングを施された。

「ありがとうございました」

 産業看護師に頭を下げ、ドアへ歩を進める。医務室のドアの取っ手に手をかけて押したのと、廊下側から引かれたのが同時だった。

「きゃっ!」

 私の身体はドアと共に引っ張られ、前のめりに。ドアを引いた人物にぶつかりそうになった私の肩が掴まれて、無様に倒れるのは免れた。

「すまない。大丈夫?」

「はい。こちらこそ、すみません」

 そう口にしながら顔を上げた私は、驚きで目が大きく開く。

 私を支えてくれたのは、コーパイから機長に昇格した桜宮さんだった。

「ケガはしなかった?」

「だ、大丈夫です。申し訳ありません。ど、どうぞ」

 突然の桜宮さんの出現にテンパってしまい、しどろもどろになりながら脇へよけると、その場から小走りで立ち去った。

 食堂で待っている比呂のところへ向かいながら、もっと落ち着いて接すればよかった、と後悔が残る。

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