極上パイロットが愛妻にご所望です
 差出人は、桜宮優成とある。その名前にドクンと心臓が跳ね、不規則に打ち始めている。

 優成って……、朝陽のお兄さんだ。

 手紙には『今日の十七時に本社の自分のところへ来てほしい』とあった。『都合が悪い場合は電話をいただきたい』と。

 今日は早番。予定はないから、十七時には品川区にある本社へは行ける。けれど、シモンズ家に朝陽と別れると告げた私と会う必要なんてないのに、どうして呼ばれたのか不安でしかなくて、行くのがためらわれる。

 いや、呼ばれた理由は、今飛び交っている噂が本当ならば、桜宮専務の言いたいことはわかる。

 朝陽を説得するように告げられるのだろうか。

 指定の時間は、私が早番だということはわかってのことと推測できる。

 会うことを考えると、足が震えてくるけれど、逃げるわけにはいかない。もうこれで終わらせなくては。

 私は桜宮専務に会いに行くことを決めた。

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