極上パイロットが愛妻にご所望です
「はい。これから帰国します。もう時間なので行きますね。では、お元気で。アサヒといつまでも仲良く。さようなら」

 私に頭を下げたハンナさんは、保安検査場へと向かっていった。

 ワンピースの裾をなびかせて、歩くハンナさんの後ろ姿を見送る。

 彼女のモデルのようなスタイル、人形のように整った顔。どこをとっても私が容姿で勝てる要素なんてないのに……。


 
 五ヵ月後。

 六月の梅雨の晴れ間の結婚式。

 都内一等地にあるAANグループの高級ホテルの花嫁控室では、これから始まる結婚式を待つ私がいた。

 落ち着かなくて、壁一面の鏡で何度も自分の姿を確認してしまう。

 オフショルダーで胸のラインはハート形。花とパールが縫い込まれた身頃とウエストから広がるスカート部分はプリンセスラインと呼ばれるもの。トレーンは長く、お姫さまが着るようなうっとりするドレスだ。

 そこへドアがノックされて、鏡越しに久美と友莉子が顔を覗かせた。ふたりの姿に振り返り、はにかむような笑みを浮かべる。

「砂羽!」

 久美はシックなロイヤルブルーのパーティーワンピース。友莉子はラベンダー色のレース使いが女らしいパーティーワンピースを着ている。

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