極上パイロットが愛妻にご所望です
 今日の結婚式と桜宮さんのせいで、気分の浮き沈みが激しい。久美のような結婚式がうらやましく思い、いつかは私も。でも、相手は……?と、自分に問いかけると、桜宮さんの美麗な顔がポワンと脳裏に浮かび、慌てて首を左右に振るしまつ。

 桜宮さんのアプローチは嬉しいと思うけど、彼の恋人になる自信はなかった。

 そもそもどうして周りの美人を差し置いて私なのか……。

「はあ……」

 ベッドの上にゴロンと身体を横たえ、目をギュッと閉じる。

 そこへ枕元に置いたスマホから着信音が聞こえてきた。

 夕方、チャペルで別れた友莉子だ。

「もしもし? 友莉子」

『砂羽、今大丈夫?』

 友莉子にしては珍しく、若干遠慮がちな声色。桜宮さんと一緒にいるのかもと思っているのかも。

「大丈夫よ。あの後付き合えなくてごめんね。私も電話しようと思っていたの」

 上体を起こして、壁に寄りかかる。ちゃんと左手でスマホを持ち、耳にあてている。

『ううん。いつでも会えるし。病院へ行ったんでしょう? 手はどうなの?』

「腱鞘炎。数日間右手は安静だって。でも湿布してもらってから少し痛みは軽減されたみたい」

『そっか。お大事にね。でさ、あのイケメン、砂羽に気があるみたいね? かいがいしくお世話してくれちゃって。正直、うらやましかった~。あの人もコーパイくん?』

 桜宮さんに興味を示す友莉子だ。

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