極上パイロットが愛妻にご所望です
 声を聞いたら、顔が見たくなっている。

「今、家なんです。どこへ行けばいいですか?」

『空港のパーキングに向かっているところなんだ。迎えに行くから待ってて』

 そう言って、桜宮さんは通話を切った。

 パーキングってことは道路が空いていれば二十分ほどで着いてしまう。私は慌てて部屋の隅にある等身大の鏡の前に立つ。

 久美と会っていた服装のままで、クリーム色の綿素材のストンとした膝丈のワンピースだ。

 これならおかしくないよね。

 メイクはけっこう落ちてしまっていて、ファンデーションでTゾーンのテカリをカバーし、すっかり色がない唇にはローズピンク色のリップを塗った。

 そうこうしていると二十分近く経っていて、さっきまで持っていたバッグを掴むと玄関を慌ただしく後にした。

 マンションのエントランスを出て、来るであろう方向を見た瞬間、桜宮さんのパールホワイトの艶やかなボディの車が停まっているのが目に入った。

 そしてファッション雑誌の一枚のように桜宮さんは車に寄りかかり腕を組んだ状態で目を閉じていた。

 今日は台北を往復したんだから、距離は短いとはいっても疲れているよね。

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