屍病
土曜日はいい。


嫌な人に会わなくて済むから。


日曜日もいいけど、夜になると憂鬱になる。


嫌な人に会う月曜日が来るから。


そんな土曜日の夕方まで、私は何をするわけでもなく部屋でぼんやりとしていた。


妹の結夢(ゆめ)は友達が多くて、部屋からは友達と騒ぐ声が聞こえている。


それが羨ましくて、憎くて、私は耳を塞いでひとりの世界に逃げ込むんだ。


そんなことをしている時だった。


コンコンと部屋のドアをノックする音に、私は現実に戻される感覚を味わった。


「愛莉、真倫(まりん)ちゃんが来てるわよ? 遊ぶ約束をしてたんじゃないの?」


というママの声に、私は首を傾げた。


「真倫……ちゃん?」


真倫ちゃん……山瀬真倫(やませまりん)は、小さい頃から一緒に遊んでいた仲の良い友達。


中学生になってから、クラスが一緒になることはなかったし、部活に忙しいみたいであまり遊ばなくなったのに。


私はなんだろうと思いながら、真倫ちゃんが待つ玄関に向かった。


部屋を出て、階段を下りると、玄関には真倫ちゃんが私を見て満面の笑みを浮かべて。


「愛莉、お祭りに行こうよ」


サバサバした性格の真倫ちゃんは、私にそう呼びかけた。
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