秘書清水が見た、冷徹社長の初恋
その日は、取引先の接待を受けていた。
つれて行かれた先は、女性のいる店。春日はこういう接待を以前から毛嫌いしていた。仏頂面を隠そうともせず、とりあえず座っているという有様だ。

しなだれかかる女性をやんわり退けて睨みをきかせるも、彼が地位のある男だと知っている女性達は、果敢にも近付いていく。

たまりかねたのか、入店5分ほどで「電話をしてくる」と席を立った春日。おそらく、相手は町田さんだろう。しかし、声を聞きたいからといって、ここで電話をするのは……
心配していると、案の定、最初からずっと春日にべったりしていた女性が、春日を呼びに行った。
ああ……町田さんに状況を話していればいいが……


その祈りも虚しく、町田さんの声を聞いて満足しただろう春日は、彼女になんのフォローも入れずに通話を終えていた。

それに加え、サプライズで婚約指輪を用意していたことが、まさかの事態を招いていた。

指輪の相談をした相手が、あの大学時代の知り合いだ。あの女性になった人に相談し、指輪を購入したところまではよかった。悪ふざけをした彼女は、相談に乗ったお礼にと、春日にランチデートを強要したようで、その姿を町田さんとライバルの川原さんに見られてしまった。

接待のことはまだしも、ジュエリーの方は自分の口出すことではない。
とりあえず、春日に頼まれて接待の詳細を町田さんに話すことになった。そこで春日には恋愛経験がないことを明かすと、町田さんはひどく驚いていたようだ。加えて、春日を売り込むように、最近の浮かれた様子を伝えた。





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