秘書清水が見た、冷徹社長の初恋
春日が裏で手をまわしたのだろう。あの電話から1ヶ月後には、彼の秘書となっていた。


思っていた通り、彼のもとで働くのは、これまでと違ってハードだった。社長の春日は、休むということを知らないのか、休日も関係なく仕事を入れていた。これに付き合う方はたまったものではないが、ある意味彼の扱いに慣れている自分は、適度に休みを入れながら、自分のペースで彼に付き合っていた。


若い頃は女性関係で乱れていた春日だが、相変わらず特定の相手はいないようだ。おそらく、これまで一度も特定の相手はいなかったと想像がつく。彼を見ていればわかる。常に仕事を最優先する彼に、そんな暇はなかったはずだ。

ただ、彼にも欲はある。以前とは違って、そのへんはプロを使って処理しているようだ。共感はできないが、以前よりもはるかにマシな気もする。

それよりも、彼の食生活の酷さには驚いた。聞けば、朝は食べず、昼も夜も会食か弁当ばかり。抜いてしまうことも少なくなかった。今は若さでカバーできても、これはまずい。徐々に、食事を差し入れたり、後輩ならではの付き合い方で、外食に連れ出すようにしていた。



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