探偵I(タンテイアイ)【第2巻】
……人事部……
……午前10時00分……
人事部の香川が黒いヒールをかつかつと鳴らしながら廊下を歩き人事部の一室に入っていく。
呼び出された泰平は先に椅子に腰をかけて待っていた。
香川が机に必要な書類を広げる。
「営業部の豊崎さん、今日付けでこちらの会社に移動してもらいます。署名と印鑑が必要な書類はこちらに用意をいたしましたのでよろしくお願いします」
「はい。それにしても、物凄く、……急ですよね」
「急に決まりましたものですから」
泰平が書類に書いてある移動先の会社名に目を止めた。
泰平が移動する先の会社は今の会社よりも規模が大きく有名な会社だった。
泰平の目が輝く。