お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》
ーーー
ーー
ー
「…何をしているんだ、俺は…」
ふと、溢れた呟き。
ここは、屋敷と渡り廊下で繋がる別館。
ルシアの自室の前に辿り着いてしまった。
一応、辺りを見回すが、ひとけはない。
良かったような、悪かったような、複雑な気持ちだ。
コートを腕にかけたまま、数分立ち往生する。
もう、シャツは乾いた。
自分がここにとどまる理由はない。
変な気を利かせた相棒の顔が脳裏にちらついたが、メルは小さく息を吐いて扉に背を向ける。
(ここに居たら変な気分になる。もう帰ろう)
…と。コツコツと歩き出そうとした
その時だった。
静かに開く扉の音。
部屋の中から漏れる明かりが、メルの影を映し出した。
「メル…?」
ぱちっ、と重なる視線。
思わず動揺してしまったメルは、言葉が出ない。
彼女の心から安心したような表情に、胸が痛む。
「来てくれないかと思った。メルを待ってたの…入って?」
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「…何をしているんだ、俺は…」
ふと、溢れた呟き。
ここは、屋敷と渡り廊下で繋がる別館。
ルシアの自室の前に辿り着いてしまった。
一応、辺りを見回すが、ひとけはない。
良かったような、悪かったような、複雑な気持ちだ。
コートを腕にかけたまま、数分立ち往生する。
もう、シャツは乾いた。
自分がここにとどまる理由はない。
変な気を利かせた相棒の顔が脳裏にちらついたが、メルは小さく息を吐いて扉に背を向ける。
(ここに居たら変な気分になる。もう帰ろう)
…と。コツコツと歩き出そうとした
その時だった。
静かに開く扉の音。
部屋の中から漏れる明かりが、メルの影を映し出した。
「メル…?」
ぱちっ、と重なる視線。
思わず動揺してしまったメルは、言葉が出ない。
彼女の心から安心したような表情に、胸が痛む。
「来てくれないかと思った。メルを待ってたの…入って?」