お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》
そんなやり取りに、ふふっ、と笑うルシア。慌てて出した手を引っ込めようとするダンレッドに、彼女は「いいわよ、そんなにかしこまらなくても。仲良くしましょう?」と握手をかわした。
笑みを浮かべてブンブンと握手する彼らに微笑ましい視線を送るウォーレン。
「ダンレッドは屋敷の用心棒だが、ルシアが外出する時は専属護衛として付いてもらおうと思ってるんだ。」
「専属護衛…?」
「あぁ。これから付き合いで社交会に出る用事も増えるだろう。プライベートまでとは言わないが、公務には付き添ってもらいなさい。」
ダンレッドは、にこにこと笑いながら続ける。
「よろしくね〜、お嬢さん!出かける時はいつでも呼んで!」
「ふふっ…!分かったわ!ありがとう。」
すっかり打ち解けたような二人。どうやら、ダンレッドと彼女は素直で人好きなところがよく似ているらしい。少し話しただけで馬が合ったようだ。すでに仲の良い友人のような関係になっている。
そんな中、やがて、ルシアはふっ、とメルを見上げた。
彼女の視線に気付いたメルは、胸に手を当てながら深々と頭を下げる。
「申し遅れました。私はメルです。旦那様の専属執事をしております。先程はどうも。」
「あ…、こ、こちらこそ!まさか、貴方がうちの執事さんだなんて思いもしなかったわ。」