ナナ
「また、か。」



宝石がついたアクセサリー。



高級なお酒。



甘いお菓子。



綺麗な香水瓶。



可愛い花束。



ブランド物の服。



リボンを解いて包装紙を剥がして箱を開けて。



入ってるのはいつも同じ。



最近は貰うプレゼントが多すぎて空き部屋を1つ使って収納部屋にしている。



いつも通りプレゼントをしまってドアに鍵をかける。



結局このプレゼント達を使うことはほぼほぼない。



気が引けて、とかそういう問題じゃなく。



ただ単に身につけたくないだけ。



自分が選んだものじゃなく男達の選んだものをみにつけて。



男たちの思惑通りに染っていく。



まるで奴隷みたい。



店にはそういう子達もいる。



プレゼントを健気に身につけ男どもを誘い太客にする子達が。



ただしその場合は男達の顔と名前をしっかり一致させなきゃいけない。



万が一貰ったプレゼントと違うプレゼントを身につけていたらその客は離れていくから。



私はそこまで男たちの名前も顔も一致させられるほど覚えられない。



身につけない理由は考えれば沢山出てくる。



だったら売り飛ばそうか、とも考えたことがある。



けどそれはなんだか気が引けて結局取っておいてある。



「綺麗な空・・・。」



昨晩の雨とは打って変わって澄み切った青空を窓から眺める。



これから男たちの相手をしなきゃいけないと思うと気分は沈むけどこの空を見ると、そんな気分も少しは晴れる。



「頑張るか・・・。」
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