ナナ
「金は倍払ってやる。それでいいか?」


「っ・・・。」


「その代わり俺からの頼みだ。」



私の髪を指で弄びながら言う。



「演技はするな。自分の感じる快感のまま啼け。」


「はぁ?それじゃあ娼婦としての意味が無いんじゃないの?」


「できるのか?」


「そりゃ演技やめるだけだから、できるけど・・・。」


「じゃあ決まりだ。」



いつもと同じ。



唇を塞がれる。



でも演技はしない。



湊都の手が身体に触れる。



「ねぇ、なんで私達があれだけお金もらえるか知ってる?」


「なんでだ?」


「他の娼館でできないことが出来るからよ。」


「できないこと、か。」


「分かるでしょ?」


「・・・あぁ。」



そう言いながら全身を愛撫する湊都。



私の体全てで湊都を感じる。



押し寄せる快楽の波。



「んっ・・・。」



小さく漏れた私の声に湊都は不敵に笑った。



「ん、ちょっ・・・」



どこ行くの。その言葉はまた発することを許されず。



またお姫様だっこをされて移動させられる。



寝室から出て浴室で下ろされる。



鏡を前に私を後ろから抱きしめるようにして立つ湊都。



「自分の顔しっかり見てろ。」



甘く掠れる低音ボイスが耳元で囁かれる。



その言葉に戸惑っているとその必要は無い、と言うかのように私の下半身に手を伸ばす湊都。



指で秘部に触れながら右耳をしゃぶる湊都の目はもう男の眼で。
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