ナナ

Ecstasy

「お邪魔します・・・。」


「必要なものはさっき買っただろ。それ以外であるんだったら言え。」



この男の家に来るまでにコンビニによって一晩で必要なものを買った。



いや、買ってもらったが正しい。



「お前、名前は?」



車内では疲れたと言って寝てしまっていたし大した会話もしていないから未だお互いの名前も知らない。



「自分の名前を先に名乗るのが礼儀じゃないの。」



と言うと男は驚いた様子を隠す気もなく‘’お前本気で言ってるのか?”といった表情で見つめてくる。



‘’何よ。”という視線を送る。



「天木湊都。天木組若頭。」


「・・・ヤクザ?」


「まぁ、世間一般的にはそう呼ばれる。」



‘’次はお前の番だぞ”と視線で訴えられる。



「ナナ。Doux(ドゥー)の娼婦。」


「あぁ。あの店か。」


「知ってるの?」


「この世界にいればな。金持ち共が女達に際限なく金を落とす娼館。」


「言い方は悪いけど間違ってはないわね。」


「だろ?」



唇の片端を上げ不敵に笑う湊都。



「今度指名してよ。」



と名刺を湊都に渡す。



「指名なんてする必要ないだろ。」



その言葉に頭に?を並べる私。



どういうこと?と言う言葉は発することが出来なかった。



「ちょっと何すんの!?」



所謂お姫様だっこをされる。



「することなんて決まってるだろ。」


「さっき疲れたって言ってたじゃない!」


「それとこれとは別だろ。」


「ちょっ」



寝室に入りベッドに降ろされる。
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