ナナ

Jealousy

「いい女だな。」



頭からつま先まで舐めまわすように私を見て品定めする男たち。



「Douxのナナです。」



と翔が紹介してくれる。



「はじめまして。良かったら今度いらしてくださいね。」



名刺を配り微笑む。



「検討しとくよ。」



言葉ではそう言いつつもすっかり男の眼になっている男たちに苦笑したいのを必死で抑える。



男たちが去っていく。



「疲れたろ?大丈夫?」


「大丈夫よ。ありがとう。」



翔に招待されたパーティー。



パーティーが苦手な私を配慮して早く帰ることを許可してくれた。



「あと何枚?」


「9。」



持ってきた名刺は40枚だったのに恐ろしいスピードでなくなってしまった。



「名刺が無くなったら帰るわ。」


「あぁ。もう少し頑張ろうか。」



自ら動かずとも翔に挨拶しに、または私に興味があって相手側から寄ってきてくれることのほうが多くて。



9枚あったはずの名刺は残り1枚になった。



「あと1枚よ。」


「もうここまで来ると誰に配っていないかわからないな。」


「寄ってくるのを待つしかないわね。」



とりあえず一息出来そうだと2人でお酒を飲む。



「ねぇ。」



意外に早かったな、寄ってくるの。



とは思ったものの声は女。



振り向くと茶髪のロングヘアに白のドレスを着た可愛らしい女が翔を睨みつけていた。



「この女誰?」



失礼という言葉を知らないのだろうか。



思いっきり指をさされる。
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