時は巡りて君は舞う



「悪い。遅くなった……」

することも無くぼーっと待っていると、ホームズさんが帰ってきた。

「ワトソン。話を聞かせろ……お前、ハーフだろ?その黒髪に緑の目……そして、顔を見たらハーフだって分かった」

すごい……そう言えば、敬語じゃなくなったなぁ。

ボスっと椅子に座り、ホームズさんは僕を見つめる。……でも、いっか。ホームズさんなら、なぜか信じられる。

「……僕は、イギリス人と日本人とのハーフで、日本で生まれ育ちました」

僕は、ゆっくりと話し始めた。高校を卒業したばかりの僕は、両親の都合で両親の故郷へ来た。だけど、両親は突然僕を捨てたんだ。

「……『お前の顔も見たくない』って、『お前は要らない』って……」

「……」

「……僕は、どうしたらいいの!?どうやって、生きたらいいの!?何も分からないんだ……っ!」

両親の言葉を思い出して、僕は叫ぶ。無意識に、僕の口に出ていたのは日本語だった。

「……ワトソン」

息が荒くなりかけている僕に、手を置き、ホームズさんは僕を見つめた。そして、僕を抱き寄せる。

「良く頑張ったな」

「……っ!」

その言葉を聞いたのは、何年ぶりかな。日本人とは違う見た目だ、という理由で省かれていた僕を救ってくれた幼なじみも同じようなことを言ってくれたっけ。
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