雨のリフレイン
しばらくカメラマンの指示で、座ったり立ったりして、ポーズを変えつつ撮影をしていると。

「失礼します」

ホテルマンがやってきた。


「水上様。
実は、当ホテルの中庭の整備が先日終わりまして。
新しくなった中庭でお写真、いかがですか?
スタジオとはまた違ったお写真が撮れますよ。
もし、そのお写真をガーデンフォトの見本として使わせて頂けるなら、追加の料金は結構です」


思いもかけない提案だった。


「ホテルストリークの、新しい中庭でお写真!?
ステキ!
ぜひお願いしましょうよ、洸平くん、柊子」

一番に反応して、喜んだのは母だ。

「そ、外は暑いし。ドレス、汗だくにしちゃうし。そ、それに、写真を見本になんて、困るわ」

柊子は、慌てて母を止める。


冗談じゃない。
ただでさえ不釣り合いなのに、水上にとって不本意なのに、一分一秒でも早く終わらせたいのに。


「信子さんの体調も良いですし。
俺はいいですよ。
ただし、かなり暑いので短時間でお願いします」

思いもかけない水上の了承。
柊子1人の抵抗むなしく、中庭に移動することになった。



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