雨のリフレイン
実家を離れてから、学生の間は学費と生活費はキチンと払われていた。
父が亡くなった頃には既に研修医として働いていたから実家の援助は貰っておらず、実家の現状は把握していなかった。

そこで、翔太に弁護士を紹介してもらって、色々調べてみた。


いつのまにか、先祖から受け継いだ資産もかなりの目減りをしていた。
経営していた会社も人手に渡っていた。
もう、水上家は落陽の一途を辿っている。

水上家には人生の半分も暮らしていないから特に思うところはない。
母は命がけで守っていたが、母は家の事ばかりで洸平には構う余裕もなかった。

洸平は、あの家と完全に縁を切ることを条件に、判を押した。

しばらくはそれでおとなしかった。
だが後妻の子供は相当出来が悪いようで、何とか有名私立中学校に入れたいと、洸平の同級生にツテはないかとか。
父の法事をするから、金を寄越せだの。
ちょこちょこ連絡してきて、無視すると仕事先で騒いだりされた。

初期研修医の頃は散々だった。

翔太と翔太の父が、一条の優秀弁護士を紹介してくれて間に入ってもらってやっと、落ちついた。

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