雨のリフレイン


いつもの特別室。
柊子は今日からの検査予定を確認して、部屋をノックした。


「おぉ、柊子さん。ついに看護師になったか。
また、世話になるよ」
「…?桜木さん?」

いつもなら、黒いスーツの男たちがズラリと桜木のベッド脇に並んでいる光景のはずだ。
だが、今日は、高校生くらいの男の子と女の子が桜木に寄り添っている。

その女の子。初めて見る女の子に、柊子の目は奪われた。
ハッとするような美人。思わず二度見したくなるほどの顔立ち。
だが、柊子が一番気になったのは、彼女の目だった。

見つめられたら、離せない。
人を魅了する目。
その目は、桜木のそれによく似ている。魅惑的で個性的な強い力を秘めた目を持つふたり。
桜木に血を分けた子供はいないと聞いていた。わかっていたけれど、つい聞いてしまう。


「桜木さん、娘さんいらっしゃいましたっけ?」
「娘…に見えるかい?」
「漂う雰囲気、顔立ち。どことなく似てらっしゃるんですけど、一番は目ですね。
強い目力。お二人が私を見る目は、瓜二つですよ」


柊子の言葉に、桜木と女の子は、目を合わせ、それは嬉しそうに微笑み合う。


「お父さん、親子に見えるって」
「あぁ。うれしいなぁ」


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