雨のリフレイン
その日、帰宅すると柊子宛に郵便が来ていた。
差出人は、「ホテルストリーク」だ。

封を開けて出てきたのは、ホテルウェディングのパンフレット。

「…!」

封筒を開けて真っ先に目に飛び込んできたのは、洸平と柊子が額を合わせて笑顔を浮かべた写真。その写真が表紙になっていた。
中身は様々なウェディングプランやお料理などの紹介で、洸平と柊子の写真は表紙と裏表紙に使われていた。
裏表紙は、白いガゼボの前で洸平が柊子を抱き上げている写真だ。

柊子が見たウェディングフォトは、一枚だけ。母と翔太も一緒に四人で写った写真。母がリビングに飾っているからだ。あとは、綺麗なアルバムにして母が宝物のように大事にしている。
見れば、洸平が恋しくなるからと、あえて見ないようにしていたのに。


パンフレットの写真は、幸せ溢れる笑顔。一瞬を逃さなかったプロの仕事はさすがだ。


ーー洸平さんの笑顔。キラキラの王子様みたい。
もう一度、この笑顔を向けてもらえたら。
私、死んでもいい。


赤ちゃん、これがあなたのお父さんだよ。
カッコいいでしょ?すごいお医者様なのよ。
たとえ、お父さんと呼べなかったとしても、あなたは自慢に思っていて。この人に命をもらったことを。



ーー洸平さん。
話したいことがあります。会ってもらえませんか?



再び、メッセージを送る。
だが、やはり既読は、なかなかつかない。


柊子が既読に気付いたのは、翌日の朝だ。
やはり、返信は来なかった…









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