雨のリフレイン
洸平は、ベッド脇のテーブルに置かれた、ボロボロの母子手帳を手に取った。

「この母子手帳を見た時、めちゃくちゃ嬉しかったよ。我を忘れるほど女の子を夢中に抱いたことなんて、今までなかったんだ。そうして出来た子どもなんて、夢のようだ。
柊子。
君を救ったこの子を、父として俺は誇らしい。
これからは俺が君もこの子も守る。
守らせて、くれないか」

夢にまでみた言葉が、今、洸平から聞けた。
柊子の胸は切なく震え、喜びが湧き上がる。

「…信じます。
ありがとう、洸平さん。大好き。心配かけてごめんなさい。
私は、何があっても洸平さんが大好きだから。
愛し方なんて私もわからないけれど、もう迷わないから。たとえ洸平さんが私に飽きても私はひたすらにあなたを好きでいるから。私の愛情だけは、疑わずにいて。あなたは愛されていると安心していて」

柊子は、洸平に向かって、両腕を伸ばした。

「ありがとう。
俺も好きだよ、柊子。君に飽きるなんてあり得ない。俺は不器用でごめん。不安にさせてごめん。
これからも、不安や心配なことは何でも聞いてくれ。離れて暮らさなきゃならないから、心配も多いと思うけど、俺には、柊子だけだから」

洸平はその腕を掴むと、優しく抱きしめた。
互いの温もりが嬉しい。

「一緒に生きていこう。無期限で、ずっと」
「…はい」



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