恋叶うオフィス
離婚の原因はお父さんの心変わりなのかな……。信じていた人に裏切られたときのショックは相当なものだろう。

私は武藤のように傷ついたことがない。簡単に心変わりしないと伝えるのは、難しい。でも、伝えなくてはいけない。彼が未来に向かって、進んでいくために。


「私は武藤を信じる。だから、武藤も信じてほしい。私は、武藤が好きだよ。ずっと武藤を好きでいる。だから、私と一緒に歩いてください。絶対武藤を幸せにするから」

「渡瀬……」


彼は顔をあげて、私を見た。彼の目は潤んでいて、今すぐ抱き締めたい衝動に駆られる。両手を伸ばす。


「お願い、武藤。私を信じて……」


「渡瀬」ともう一度私を呼んだ武藤は、目を伏せる。その時、ひと粒の涙が落ちた。立ち上がって、武藤の頭を胸に抱く。

彼は私の背中に腕を回して、きつく抱きついた。彼の髪に手を触れる。


「どんな武藤でも受け止める。私はずっと好きでいるから」

「俺も……渡瀬が好きだよ……」


私の胸の中で言う彼の気持ちは、ハッキリと耳に届いた。まさか武藤も好きと言ってくれるなんて……。
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