口さけ女と陰陽師
くち子の真実
※この章は数年前の話です

飯島父「ん?あれは…」

飯島は闇の中で一人の少女が妖怪に囲まれその体に火をつけられたりされていた。

飯島父「こら!何をしてる!」

飯島父を見るなり陰陽師だと気づいた妖怪達は

妖怪1「やべっ陰陽師だ!」

妖怪2「逃げろ!」

女の子を囲んでいた妖怪達が去る

飯島父「大丈…」
大丈夫か女の子にそう聞こうとしたがやめたそれが口さけ女だったからだ。くちが耳元までさけているから間違いはない。だがマスクをしていないし、足をさっきのやつらにやられたのがはたまた腰が抜けたのか泣き顔のまま逃げようとはしない。

飯島父は思った。

飯島父の心の声[この子はまだ小さいが口さけ女だ。いずれ必ず驚異になる…。何せあの口さけ女女だからな。。。少し可哀想だが誰にも迷惑をかけていない今のうちに…。]

飯島父は念力を込めて呪文を唱え始めた

すると運命をさとったのかその口さけ女が飯島父にこういった。

くち子(幼少期)「助けようとしてくれてありがとう。」

呪文を唱えていたがはっきりと聞こえた。飯島父は飯島と同じく妖怪を何度か助けたことはあったが、お礼なんて言われず皆襲いかかってきた。小さい妖怪もそうだ。だからその言葉に驚いて呪文をやめた。

くち子(幼少期)「…。どうしてやめるの?」

飯島父「…続けてほしいのかい?」

飯島父は恐る恐る聞いた。自分から滅されようとする妖怪なんているはずないと思ったからだ。

くち子「…うん。」

その子ははっきりそういった。驚いたがそんなことはもうどうでもよかった。親心といったところか、そのこのことが心配になったからだ。

飯島父はその子に近づき、ひざまづいた。足に怪我はない。やはり腰が抜けてしまって逃げ出せなかったのだろう。

飯島父「どうして続けてほしいのかよかったらはなしてくれないか?」

飯島父がそういうと、口さけ女は今までは母がいたこと、母が強かったからいじめられなかったこと、母がいなくなったとたんいじめられるようになったこと、を打ち明け、ついには

くち子「もう。妖怪の世界になんていたくない。」

そうとも告げてきた。苦しかったのだろう。悔しかったのだろう。母にまだ甘えていたかったのだろう。妖怪には感情がないのだと飯島父は思っていたが、この子だけは違うとその時はっきり感じた。

飯島父「…だったら。一生は無理だが。昼の間だけ人間界にいれるようにしてやろう。」

くち子「えっ?いいの?」

さっきまで泣いてばかりだった口さけ女がキラキラした目で飯島父を見始めた。人間の子供とかわりない。可愛らしい目だ。

飯島父「あぁ。だけど一つ約束してくれるかい?」

くち子「?」

飯島父「赤い月夜の晩。その日だけは決して人間の世界に来てはいけないよ。」

くち子「…強くなっちゃうから?」

飯島父「…それだけじゃない。君にはわかっているのだろう?何度も上がっているはずだからね。」

くち子「…。うん。わかった。約束する。でもねもしかしたら私弱いから他の妖怪に操られて人間界に来ちゃうかもしれない…。その日だけは皆こっちにこれるから…。そうなったらおじさんが私を殺してくれる?」

くちさけ女はすがるような目で飯島父をみる。

飯島父「わかった。約束しよう。」
< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop