口さけ女と陰陽師
妖怪の世界のリーダーは絶対
くち子の心の声(飯島くんが陰陽師ってことは私が口さけ女だってしってたってこと?それとも知らずに…いや、あり得ないか…。あの陰陽師だもんね。だとしたら、知ってて私を助けてくれた事になる。それにどっちにしたって私があの人に助けられたのは事実。お礼も言わず去ったけどよかったのかな…。)

くち子はさっきまで歩いてきた道を振り返った。
そこには誰もいない。ただ夕日が沈みかけた真っ赤な世界が広がるだけだった。

くち子「私悪いことしたかな…。でも陰陽師だってことはまた会ったら封印とかされちゃうのかな。お母さんならどうしてたかな。。。」

くち子の母親は人間が思い描いているような強い妖怪で、妖怪の中ではリーダーのような存在だった。そんな母親の元で育ちそうなりたいと願ったこともあったが、くち子にはそれが叶わなかった。
母親はもう亡くなってしまったが、今でもくち子は母親の面影を探している。

そんなことを考えるうちに夜になり、妖怪の時間になった。

ゾロゾロと姿を現す妖怪たち

ヒソヒソと「あいつ人間に助けられたぞ」とか、「醜い醜い人間に助けられた」とか、「汚ならしいよるなよるな」とか言い出す回りの妖怪たち。どうやら見られていたようだ。

そしてそこに
?「おやめなさい。」

綺麗な声が響き渡った

出てきたのは妖怪[ようこ]。つまり狐の妖怪。白い毛並みに白い顔その姿は夜には眩しく、美しい。
これが今の妖怪のリーダーだ。

妖狐はくち子に近づき、その体に火を放った。

くち子は熱がりながら必死に火を消す。その姿を鼻で笑いながら、こういった

妖狐「これぐらいはなさいな。」

そうくち子は妖怪なのに弱く、人間といつもいるため、いじめを受けているのだ。
母親が生きていた頃はそうじゃなかった。
何故なら母親がリーダーだからだ。

この妖怪達の間ではリーダーは絶対で、逆らったものは消される運命なのだ。

そんな妖怪の世界が苦手だから人間にとけこもうとしてるくち子の心境はいうまでもないだろう
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