口さけ女と陰陽師

飯島サイド

放課後
飯島はくち子の事を考えていた。
普通妖怪は陰陽師だと見た瞬間に気づくもの。そして必ず襲ってくる。くち子は口さけ女だ。

その強さは計り知れなく、足も早い口さけ女
は一度獲物と決めた相手は地獄のは手まで追い続ける。そんな口さけ女と沢山の妖怪が映画で戦わされているが、必ず口さけ女が勝っている。

そんな妖怪が陰陽師に気づかないわけがあるだろうか。そもそもなぜ人間のふりをする必要があるのか。妖怪の特殊能力も記憶の改善みたいだ。だからあんな大きいマスクに誰も異変を感じたり、いじったりしないんだ。

飯島「そこまでして一体なにがしたいんだ…そもそも俺に気づいてないのか?」

飯島はぶつぶつと喋りながら深く考え気づいたら知らない場所にいた。

飯島「てかここどこだ?」

その時だった。

?「あれ?くち子じゃね?」

飯島が声のした方を見るとそこにはヤンキーというあだ名がつく程のチャラ男でイケメンなのに性格が悪いと女子の間で噂になっている同じ学校の生徒がいた。その目線の先にはくち子がいた。

飯島「何やってんだ?」
覗き見するつもりは飯島にはなかったがいつのまにかその体制になっていた

二人の声は遠く何を話しているかはわからなかった。
よっぽどチャラ男の第一声はでかかったのだろう

飯島の心の声(何を話てんだ?)
飯島はくち子が自分以外の男子と二人きり話しているのを見て心が傷んだ気がした。

飯島「馬鹿馬鹿しい。俺には関係ないじゃないか…。」
そういって帰ろうとした時。

くち子「か、返してくださいっ」

くち子の声が響いた。見るとくち子の携帯がとられており、くち子はそれを取り替えそうとしていた。そんなくち子の腕を掴んだチャラ男は今にもマスクを外しそうな勢いだった。

口さけ女だとか強い妖怪だとかそんな考えは飯島に浮かばなかった。ただくち子が危険だと思った。
その瞬間体が勝手に動き、チャラ男に蹴りをいれてた。

チャラ男は地面に顔を押さえながら倒れる。
そしてチャラ男をものすごい形相で睨み付けた。

くち子「い、飯島君?いつのまに…」

くち子の声が聞こえる。普段バカだと言われている飯島にもわかるほど、声が震えている。

チャラ男「何すんだよ飯島。」

飯島「それはこっちの台詞だ。嫌がってる女子に、何てことをしてんだよ。お前は。」

チャラ男「サービスだよ。こんなイケメンの俺とやれるんだぜ?本望だろ。」

飯島の心の声[何いってんだこいつは。好きでもないやつにそんなことされて喜ぶ女なんて尻軽くらいだぞ…]
と思いながら、

飯島「ばかげてるな。」と吐き捨てた。

チャラ男「ばかげてる?俺はたった一人で口さけ女について調べてるよりましだと思うけどね。」

飯島「口さけ女?」
飯島の心の声[この世界での自分の評価が気になったのか?それとも…いやそんなことはどうでもいい。]

チャラ男「そいつだよ。さっき携帯を見たらそんなことばっかり調べてたぞ。そいつ」

チャラ男はくち子を指さしながらいった。

飯島はくち子に「大丈夫全部わかってるから。」と言おうとしたが、やめた。

飯島「とにかく、くち子は嫌がってんだ。これ以上するってなら警察呼ぶぞ!」

チャラ男「おー怖い怖い。やっぱお前としては気になる相手はほっとけないってか?」

飯島「(?)…どういう意味だよ。」

チャラ男「だってお前…陰陽師なんだろ?」

くち子「………え?」

飯島の顔が一瞬青ざめたが、すぐ気を取り直し、チャラ男の胸ぐらをつかみいいよる

飯島「お前どこでそれを知ったぁ!」

飯島は嘘だと言えなかった。いいわけもできなかった。ただくち子に陰陽師だとしられてしまう焦りから必死だった。

チャラ男「怒るなって。ちょっと調べたんだよ。君も俺と同じイケメンだからねぇ。何か弱味でも握って学校から消えてもらおうかと思ってね。イケメンが僕だけになればもっと女子の集まりがよくなるからねぇ。」

飯島の心の声[あぁこいつは。最低だ。いや、俺もか。好きなこのためじゃなくて、自分のためにこいつの胸ぐらをつかんでる。。。]

チャラ男「だから口さけ女について調べてるのしっていて興味もったとかなのかなぁって思ったんだけど違ったかっ…」
チャラ男がそこまでいうと、飯島はチャラ男を突き放し、

飯島「今すぐ消えろ!さもないと本当に警察にいうからな!」といった。

飯島の心の声[俺が冷静なうちに行ってくれさもないと…]

チャラ男「はいはい。わかりましたよ。くち子またな。」

チャラ男がさり、二人だけの空間になった公園はまるで時間が止まったようになっていた

飯島の心の声[いいわけは…いやできないな。俺はくち子よりも…自分を選んだ。]

くち子がといかけてくる。

くち子「ねぇ。飯島くん。」

飯島は黙って背中をくち子に向けたまま
飯島の心の声[やめてくれ…これ以上は言わないでくれ…]と思った。

くち子「あなたが、陰陽師って本当…なの?」

飯島の心の声[あぁ…そうだ。だが違うんだ、、、いや違わない…か。]

くち子「そう…本当なのね。」

飯島の心の声[あぁ終わった。俺の初恋。俺の人生も。いくら陰陽師だからといって、好きなやつは封じ込めれない。]

飯島は覚悟を決めた。殺される覚悟を。でも何時間たってもくち子は襲ってこない。

飯島が思いきって振り替えるとそこにはくち子の姿はなかった。

飯島はほっとした。くち子が他とやはり違うことを確信したからでもある。でもやはり自分が思ったのだ。

くち子の方から消えてほしいと。

無理もないといった甘えた感情は飯島にはなかった。結局最低なのはあいつじゃなく。自分なんだと思い、本格的な恋の終わりを迎えたことを改めて実感したのだった。


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