恋を拗らせている。
ったく、別れてから噂が流れるのなんか、早いもんだ、ほんとに。
チャラくて手の早い後輩はすぐに弥那に声にかける。



…あー、ダサいぐらいに焦ってる。
別れたのに。別れを選んだのは俺なのに。



別れた理由は単純で、弥那が俺のこと好きじゃなかったから、他の男のことが好きだったから。



…そんなでも俺は、弥那のこと、好きだったんだよな。離れたくないって思ってたんだよ。

でも、弥那は楽しくないだろうから…さ。




◇ ◇ ◇




「和久、ちょっと残ってもらっていいか」
「えっ、なんですかね?俺、用事あるんですけど…」
「体育館の鍵当番なんだよ、今日。手伝って」


で、結局。
帰りに弥那を誘った後輩を強引に引き連れて、体育館の施錠に向かった。



「先輩、まだ弥那先輩のこと好きですよねー」




体育館後方の扉を閉めていると、和久はニヤニヤとそんなことを言った。
…鬱陶しい。
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