華麗なる人生に暗雲はつきもの




「そんなことは知ってる。でも、お前のしていることは、そう見られることなんだよ」



 苛立ちを紛らわすようにグラスをテーブルの上に叩きつけるように置く仁。


 酒が仁の手をつたい、テーブルへと水滴が落ちる。



「好きの言葉もなく、馬鹿だの無神経だの最低だの可愛くないだの、そういうことは平気で言って、小春が傷ついてないと思うか?」



「………………」



「学生時代から周りに不釣り合いって言われて、何とかお前に恥をかかせないように頑張っている小春に対して、良くそういうことが言えるといつも不思議に思ってた」



「それは、あいつが無神経にお前と……」



「また、小春が、か?小春をわざと傷つけるようなことしてそれで良くも偉そうに大事にしてる
なんて言えたもんだ」



「………………」



「贔屓目抜きに、小春は社会に出てますます綺麗になった。でも、お前は変わらずガキのまんま。いくら小春がお人好しでも、思い通りにならないと駄々をこねるガキと結婚するわけないだろ」



「………………」



「お前、気付いているか?気に食わないことがあると、小春に暴言を吐いて威圧的になる。いつ治るのかと思って見てたら、今度は暴力で支配しようとする。今日で見切りがついた。お前ダメだわ、小春にふさわしくない」



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