華麗なる人生に暗雲はつきもの
きっと、水野と初めてキスを交わした時に感じたあの予感の通り。
俺の世界は水野を中心に回り続けるのだ、一生。
たとえ、このまま嫌われたままだったとしても、変わらずに。
うるうるな瞳がまた別の意味でうるうるしだしたが、どうすることもできない。
こんな情けない自分を好きでいてくれるあかりはやっぱり座敷童。
あかりが大人になって、この時のことを思い出す瞬間があったら、あかりは後悔することはないだろうか、初恋の相手が俺で良かったと思えるのだろうか?
紫芋みたいな顔の男であっても。
「こはるちゃん、しゅんくんのこときらいでも?」
「そう。それでも俺は好きなんだ」
うるうるが崩壊し、泣くかと思ったら、あかりはぐっとこらえ、俺の膝から飛び降りた。
ぱたぱたと走り去り、またぱたぱたと戻って来て、子機を俺へと差し出す。
「こはるちゃんにでんわして。こはるちゃんにいわないとだめ!」
「嫌われることしたから無理なんだ」