華麗なる人生に暗雲はつきもの



 繰り返し同じことを考えていると、あかりに服を引っ張られた。



「な、なら…………」



 いつでも赤い頬を一段と赤く染め、恥ずかしそうにしながらも俺を見上げるあかり。


 首が疲れそうだと、俺の膝に乗せてやると小さな口を開いた。












「わたしを、およめさんにして、ください」















 子供の瞳はあかりに限らず、うるうるとしていて澄んでいる。


 これはあかり限定だが、そんな目でおねだりされると仁やおじさんだけでなく俺も、はいはいと従ってしまうのだ。


 でも、それだけはできないと思った。


 子供の言うことだと軽く流すことができなかった。


 あかりの目が真剣だったからかもしれない。


 俺には水野しかいないと思ったのだ。


 どんなに嫌われても、水野以外を考えることができなくて、軽くあかりの言葉に頷けるような思いではなかった。










「ごめん。水野じゃないとダメなんだ」



「あかりはしゅんくんのおよめさんむりなの?およめさんになりたいっ!」



「俺のお嫁さんは水野以外はありえないんだ。ごめんな」



 これからどうすれば良いかなんてわからないが、水野以外は無理だ。


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