華麗なる人生に暗雲はつきもの




「どこが悪いって言うんですか?」



「全てよ、全て。まだ、一年目の企画書のほうがマシだった。今の企画書だったらあんたは、ここの配属にならなかったわね」



 仕事に打ち込んだのは水野のことを考えないようにするためだが、仕事はしっかりとこなしてきた。


 この企画書だって、企画課への配属が決まった企画書より劣るものではない。


 ここで積み重ねてきた経験を活かして作成したものなのだから。



「最近の榊田の仕事は何もかも中途半端。自覚がないなら、あんたに教えることは何もないわ」



「中途半端?」



「そうよ。今日の会議だって仕切りを任せれば、混乱を招いて終わらせるし」



「あんな個性の強い連中を最初の会議からまとめられるか。他部門の意見を聞くのが主旨だったんだから意見が多く出たことはプラスだ」



「馬鹿。実績がある連中がそろっている時点で、議論が過熱するなんてわかるでしょ?それを見切って、疑問点と意見を集約するのがあんたの役目だった。放置して、互いに主張するだけの会議に意味がある?」



 宮野の指摘はもっともだった。



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