華麗なる人生に暗雲はつきもの
「あんた。いい加減にしなさい。」
自分の誕生日が過ぎ去り、傷心の感覚も薄れた。
もやがかかったように、淡泊に時は流れていくような感覚。
味気ないが、特に不満などもなく漫然と日々を過ごすことに慣れて行っている。
六月も中旬、梅雨真っ盛り。
梅雨前から生活環境の乱れで偏頭痛が絶えなかったが、梅雨になったら嘔吐を伴うほどの頭痛。
例年にないほどの不調は病院に行ってさえ治る気配はなく、体力を限りなくすり減らしていく。
食べても嘔吐するばかりで最近では飯を抜くことが多くなった。
そんな体調でも仕事だけはと、誰もいないフロアでパソコンに向かっていると、宮野が隣にどかりと座ったのだ。
「仕事やってるのに説教ですか?」
パソコンから目を離さずに問うと、すぐさまパソコンの電源を切られ、イスを思いっきり蹴飛ばされる。
「仕事?私は有給休暇で遊びに来てるのかと思ってたわ」
「………………」
「お遊びの延長線で企画書なんか書いたって無駄よ?課長が見たら、来月には異動させられるだけ」