華麗なる人生に暗雲はつきもの



 職場でのことなんて、水野にさえさほど話さない。


 女がうろうろしたり迫られたりとロクな話はなかったし、仕事の話はつまらないだろうし。



「安心しろ。悪いことは言ってないぞ」



 俺の肩に手を置く高杉さん。


 だが、この言葉を信頼して良いものか。



「真面目で才能もあるけど可愛げのない後輩。あとは、飲み会は榊田にお持ち帰りされるのを期待する子が山ほどくらい?」



「…………どうして、そういうこと言うんですか!?」



「怒るなよ。知り合いだとは思わなかったんだし。それに職場の女には手を一切出さなくてネタにもなりもしない、って話したわよ」



「職場だけじゃありません。浮気なんかするわけないでしょ!?」



「だから、怒るな。それだけ小春に惚れてれば浮気はしないな。わかったから、落ち着け」



「あんた最初から、仁に嫌われてたでしょ?大学時代から、あんたのこと敵視してたもん」



 確かに、初対面から敵意を感じた。


 でも、それは水野に好意を持っている男が気に食わないのだと思っていたが違うのか?



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