華麗なる人生に暗雲はつきもの




「……仁はお前の話を聞いて、それこそ今のお前みたいに青白くさせて死にそうな顔してた」



「慌てて小春の母親に電話してね。そこまで溺愛してるなら顔を見に帰れば良いのに、小春のためにも会わないほうが良いから我慢するとか言って小学生の小春の写真を見つめて祈ってた。変態でしょ?」



 変態としか言いようがない男だった大学時代の仁。


 そして、どうも話がかみ合わない、ヘンテコで弟と妹を溺愛する姉貴。


 この二人が出会い、そして俺が水野を好きになるとは何か運命か、はたまた宿命を感じる。



「だから、会ったこともないお前のこと異様に目の敵にしててな。明美はエロガキなところがまた可愛いとか、フォローにもなってないことを言って仁の肩を叩いてた」



「うちの姉貴も知ってますか?水野が仁に繋がってる、って」



「明美とは卒業後会ってないから知らないわ。仁繋がりで明美とは話してただけだし。あの二人は頻繁ではないにしても連絡とってると思うわよ」



「何年か前から小春に恋人ができて、そいつをボロクソに言ってたが、まさか、仁の小春と明美の俊だとは。仁の怒りは如何ほどだったか」



 これは、姉貴に連絡を取ったほうが良さそうだ。


 気づくべきことに鈍感で、不用意な発言を繰り返し、気づかなくて良いことに鋭く、言うべきことを言わない姉貴。


 昔から煮え湯を飲んできたが、今回ほどの特大窯の煮え湯はない。



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