華麗なる人生に暗雲はつきもの
『お袋、この間は俺に似てない孫が早くみたいって言ってだろ。喜べ』
一体何をそんなに怒り狂っているのか。
待望の初孫の感謝して欲しいところだ。
俺の言葉なんか聞いていないかのように、ぶつぶつと大きな独り言。
『向こうの親御さんに何てお詫して良いのか。本当にあんたは問題ばかり起こして』
お詫び?
結婚の約束をしているのに?
その考え方が古臭いと俺は言って電話を切った。
だが、お袋は正しかった。
そう、おじさんは古風な考えと頑固一徹さを兼ね備えていた。
できちゃった婚反対。
俺からしたら、結婚の約束後の妊娠なのだから問題ないと思ったが違うらしい。
この報告はおじさんを大激怒させた。
妊娠を水野家に知らせた日から俺の受難は始まった。
今までは駄々をこねて結婚の挨拶を先に延ばさせようとしていたおじさんの態度が急降下。
『結婚なんて私は認めない!』
それはもう烈火のごとくお怒りに。
結婚どころか別れろと言われる始末。
頼りにしているおばさんでさえお手上げ。
『ここまでになると私には無理だから頼らないで。一層駆け落ちしたら?』
そんな冗談なのかわからないことを言われる始末。
何度も電話をかけた時に、運悪くおじさんが出た時なんか。
『二度とかけてくるな!!』
と怒鳴られて、弁明を聞いてもらえる瞬間はなかった。
以降、おばさんの携帯にかけている。