華麗なる人生に暗雲はつきもの



 仁にもおじさん同様に結婚を反対されたらと戦々恐々としていたが一安心。


 ただ事態は変わらず、俺は悩み続けるまま日々を過ごす。


 そんな矢先に姉貴が一役買って出た。


 俺は頭を悩ませながらも水野の家で健康的に暮らしていた。


 水野の腹も心なしか膨らんだように見える。


 夕食の片付けも終わり、金曜日の心地良い夜。


 俺は水野と共に過ごす。



「榊田君、さっき電話鳴ってたよ」



 風呂から上がると、妊婦雑誌を読んでいた水野が顔を上げた。


 水野を抱え込んで座ろうとしたら、電話が先と追い払われた。


 幸せな時間を電話で邪魔されたわけだ。


 電話相手が広也なら今度会ったら殴ろうと思い画面を見るとお袋からの着信履歴。


 何やら厄介そうだと思いながら廊下の出てから電話をかける。


 水野に聞かれたら憚りあるような内容であっては困るから。


 子供のことで俺たち親子が口論しているのなんて気分が良くないのは自明。



『何の用?水野の親に了解取れていないから連れていけないぞ』



 電話に出た瞬間に先回りして、低く不機嫌な声で牽制した。



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