華麗なる人生に暗雲はつきもの
「ごめんなさい」
そのまま更に頭が下がり、水野の表情をうかがい知ることは不可能。
「予想通りの答えだな。俺がプロポーズするの気付いてたんだろう?広也からこの間見かけた話は聞いた」
「……うん」
「断られるのはわかってた。俺の何がいけない?」
好き好んで、惚れた女にフラれたいやつがいるわけない。
断られるとわかっていても、理由がわからないままでは前に進めない。
あと、二、三年で結婚とか言っていた自分のお気楽さをなじりたい気分だ。
しかし、今のうちにプロポーズして良かった。
簡単に結婚まで持ち込めないとなると、二、三年後ではさらに最悪だ。
ポジティブに考えること意識的にしなければ。
そんな俺の考えも、すぐに吹き飛ぶことになるのだが。
「……榊田君が、いけないとか、じゃないの」
「なら、どうしてだ?思ってることそのまま吐き出せ。この待ってる時間がイライラする」
しばらく立ち、ようやく水野が言葉を発する。
それに被せるように返す俺。
俺の怒りが水野にダイレクトに伝わり、水野は短く息を吐いてから、言いにくそうに話し始める。