華麗なる人生に暗雲はつきもの
「わかるように説明してあげたって良いでしょう!?俊君は俊君なりに小春さんのこと大事にしてきた。仁だって、わかってるはずなのに、それなのにっ!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!!離婚離婚離婚離婚離婚!!」
「わかった。その通りだ。わかったからっ!!」
叩く佳苗の腕を掴んで止める仁。
「……ちゃ、ちゃんと、説明してあげるのね?」
仁は佳苗の目を見て、頷く。
「わかった。その代わり、離婚は撤回してくれよな?」
「これからの仁しだい」
それを聞いて、仁はがっくし肩を落とした。
「俺は以前に言ったんだ。榊田はやめておけ、って。お前も知ってるよな?」
まだ片思いだった頃、その話は仁から聞いた。
それでも、長い片思いの末、付き合うことはできた。
「女たらしが理由じゃない。一度、榊田に応えたら、小春の気持ちなんて無視する。
小春の気持ちを無視して縛りつける。それでもダメなら力で支配する。そう思ったからだ」
「………………」
「小春は否定したけど、実際、そうなったな。こうなることがわかってたのに、何もしなかった俺も愚かだった」
「お前がいるからいけないんだ。お前さえいなければ何もかも上手くいってたのに」
「芸のないやつ。それしか言えんのか」
「水野はお前の身代りに俺と付き合った。今さら、別れるなんて許されるはずないだろ!?人をさんざん利用しておいて」
「……クズ。お前は小春のことを何もわかってない。三年以上付き合っていて、何もわかってないんだな」
軽蔑を隠さないその口調が俺が仁より劣っていると突きつけられているようだ。