一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
いつも優しい杉田がどうしたのだろう?と萌音が首をかしげると、突然、海音が言った。

「萌音、出産まで仕事を休まないか?」

「えっ?どうして・・・」

「周りも心配するだろうし、何より萌音も思うように動けないだろう?」

「・・・!」

萌音は、唇を噛み締めて海音を見つめた。

「海音!何言ってんのよ、あんた・・・」

黙って成り行きを見守っていた桜が、慌てて間に入ってきた。

「海音の気持ちはわかった・・・」

萌音は海音から目を背けると、立ち上がって設計課を出て行こうとする。

「萌音、違う、違うんだ」

「一人にして!」

ついて来ようとする海音を、低い声で制する萌音は黙って部屋を出ていった。

桜もため息をつきながら海音の腕をつかみ

「ちょっと頭冷やしなさいよ。海音」

と諭す。

静まり返った設計課には、気不味い雰囲気が漂っていた。


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