一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
その上、双子の育児ということで、出産後一年間は、佐和山家にご厄介になることが決まっている。

だから佐和山本家は絶賛リフォーム中だ。

不安を抱える若い夫婦には心強い限りであると思う。

「ご両親さえ良ければ、私はずっと同居してもいいって思ってる。子供だけの留守番は辛いから、双子にも賑やかな環境で過ごしてほしくて・・・」

萌音が寂しい幼少時代を過ごしたことを知っている海音は、

「ありがとう。萌音。親父もお袋も喜ぶよ」

と頷いた。

しかも、海音の母、千香子は保育士の資格と管理栄養士の資格をとっている。

こんなにフォローアップ体制が整った環境で暮らせるとは、萌音も双子も幸せというしかないだろう。

「ねえ、海音。双子が大きくなったらいっぱいデートしよう。たまにはお父さんやお母さんに双子を預けてほんの少しでもいいから二人の時間を作ろう。きっとあっと言う間に双子は大きくなるよ。家を作るみたいに四角四面にはいかないだろうけど、人を育てることはいい意味で仕事にも影響を及ぼしてくれるはずだもの」

微笑む萌音は本当に天使のようだ。

美少女風の美女は、母としての覚悟を身につけ真の強さを身に纏った。

わが妻ながら、とても眩しいと海音は目を細めた。

たまらず、萌音の唇に口付けを落とす。

「本当に好きだよ。萌音」

抱き締められた萌音もたまらず海音にギュッとする。

大きなお腹がちょっぴり邪魔だけど、邪険にはできないと海音は笑った。

「先生とナースの言うことをよく聞いて、最短で家に帰ってこいよ」

「うん。いい患者になるね」

二人のわだかまりは、ただ素直になることですんなりと溶けていった。

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