一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
翌日、萌音は海音に付き添われて、N大学医学部付属病院に入院した。

少し広めの二人部屋。

シャワートイレつきの特室だ。

「萌音ちゃん、ようこそ。二人で頑張ろうね」

「はい、お姉様」

点滴に繋がれた桜の横には、道端のご両親も来ていた。

「こんにちは萌音さん。後少しですね。私達もお子さん達に会えることを楽しみにしていますよ」

桜は張りがおさまって、点滴から内服に切り換えられれば10日程度で退院できる見込みだ。

幸い出血も少量で止まったらしい。

つくづく妊娠・出産は個人差が大きいと感じる。

世のお母さん達はこうして子供を産み育ててきたのだと、萌音は改めて尊敬と感謝の気持ちを持たずにはいられなかった。

「はい。このまま切開分娩で予定通り双子を出産したいです。その時は、二人に会ってあげてくださいね」

こうして命がある奇跡。

普通に生んで当たり前、妊娠は病気ではないとマタハラをかます上司もいるだろう。

そんなことはない。

一人一人の妊婦、それぞれの家族に、物語があり苦労がある。

萌音はその事を、双子に伝えていこうと心に誓った。


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