一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「子宮口が10㎝、全開大だ。胎嚢は破れてないから遅延破水だが、人工破膜すれば問題はありません。しかし・・・」

診察してくれた森久保医師の声が尻すぼみになる。

「児頭がかなり降りてきている。このまま自然分娩でいくか・・・」

今日はくしくも土曜日。

これから手術室の準備を待つよりも自然分娩を選択する方が安全だという。

分娩台に乗せられている萌音は不安と痛みでどうにかなりそうだった。

「ご主人か、他のご家族は?」

「今こちらに向かっています。すでに夫は近くまで来ていたらしくて、もうそろそろ・・・」

「ご主人がみえました!」

駆け込んできた研修医の声に萌音は心から安堵した。

佐和山海音は、間のいい男である。

「入ってもらって。これからどうするかを決めましょう」

森久保の声に、萌音は腹をくくった。

いや、

このデカイ腹から双子を世に送り出すことになる事実に立ち向かう覚悟をした・・・。
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