彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
悪い反応を返されることを前提に、言葉を選びながら伝える。
「あの・・・すごくいいケーキ屋さんのケーキなので・・・いっぱい食べたくなるぐらいなので、小さめですが、ホールサイズになってまして・・・。僕的には、最高なケーキだと思いまして~」
批判されるのを、あるいは建前の社交辞令のお礼を言われるものと構えて対応した。
『凛道連に責任が向く』ような言い方で。
私の説明に対し、瑠華さんの表情が一変する。
「嬉しい!あたし、ケーキ大好きなの!しかもこのお店、あたしも良く買いに行くところじゃない!?並んだんじゃないの!?」
「そうなんです。カロリーとか、量とか考えないで、すみま・・・・・・・・・え?」
「しかも、新作のプチホールじゃない!?いつも買いに行くけど、売り切れで~まだ食べてなかったのよ!ありがとう~チョコちゃん!」
「え!?喜んでくださってるのですか!?」
「うふふ!泣いてるように見えるー!?そうだとしたら、うれし泣きよ♪あたしの欲しかったものを、このタイミングとセンスで選んでプレゼントしてくれるなんて~チョコちゃんは最高だわ!!」
ご機嫌な瑠華さんに、私は慌てて伝える。
「訂正!!すみません!僕じゃないです!!この最高のプレゼントを、貴女に選んだのは僕のお兄ちゃんでーす!!」
「あら、そうだったの~?あの優しそうなお兄さんが?ありがとう~お兄さんによろしく伝えてね♪」
「もちろんです!わかって頂けて感無量!!」
(瑞希お兄ちゃんの株も上げることができて、恐悦至極っ!!)
〔★凛の修正、瑞希の手柄で片付いた★〕
瑞希お兄ちゃんへの称賛を聞けてホッとする半面、一部の人間に足して怒りが沸き起こる。
(なにこれ!?話が違うよ、通りすがりのお姉さんコンビ!!)
焦って損したじゃない!?
甘い物でも喜んでくれたじゃんかよー!?
嬉しそうな瑠華さんにほっとしつつ、余計な情報をもたらした、見知らぬ女性2人にムカついた。
〔★世間ではそれを、『人のせいにする』という★〕