彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「被害妄想ヤバイわー」
(渕上るのあ!?)
私の怒りに対し、茶化しながらいじめのボスは笑う。
「『どこまでわたしをいじめればきがすむのよー』だって~」
「キャハハハ!モノマネうまーい、ルノア~」
そう言って、鼻で笑う姿に――――――――――――
(殺す!!!)
凛道蓮スイッチが無意識で、無条件で入る。
(殺す殺す殺すぶっ殺す!!!)
殺意が支配する心で、渕上の方へ身体を向き直した時だった。
「ルノアちゃん、いる?」
教室の前のドアが空く。
そこにいたのは―――――――
「よっちゃん!?」
吉田さんだった。
彼女だけではない。
「ルノア~!」
よっちゃんをいじめていた小村達もいた。
よっちゃんと小村が一緒にいた。
それも楽しそうに、和気あいあいとしていた。
それで、わずかに残っていたよっちゃんへの信頼が消えた。
「吉田、どうしたの?」
「テスト終わったから、例のタピオカの店に一緒に行かない?」
私を見ることなく、渕上笑顔を向けながら聞くよっちゃん。
「アダム、どうする?」
「いいぜ。」
「あたしも行きた~い!」
「私も!」
「中山達も来いよ。」
まとまっていく話。
その間も、よっちゃんは私を見ようとしない。
「楽しみだね~タピオカ!」
「でもさ~あのタピオカ店の近くでしょ?うちの生徒が売春未遂で補導されたの?」
その一言で、教室にいる全員が私を見た。
よっちゃんも私を見る。
「勉強のストレス発散でもしたかったわけ?」
「アダムも狙われてたもんなぁ~?」
「なにを騒いでるの!もうすぐ授業が始まりますよ!?」
「はぁーい。」
「かえろ~吉田ちゃん。」
「待って、小村ちゃん!」
誰かが言っていた。
いじめられていたら、声をあげなさい、と。
でもそれは、【疑われてないこと】が前提だよね?
(いじめられてるっていう人物が、信用されてないと、聞いてもらえないよね?)
だから私の話は、聞いてもらえない。
(菅原凛の言葉を誰も信じない。)
だから私は言わない。
言えない。
いじめられている人間は言えないのだ。