隣の部屋のお兄ちゃん
「どうする?何買って帰る?」
陽斗くんは何事も無かったように、腰を屈めてあたしを覗き込んでくる。
だから、心臓が飛び跳ねるかと思った。
「やっぱり、今日はいい」
あたしの頭の中はさっきの出来事でいっぱいになっていた。
「えぇぇぇ……」
不満そうに唇を尖らせる陽斗くんに、
「勉強がんばって」
なんて言い切るしかない。
「うぅ…仕方ないか。本当に今日は変なとこ見せて、ごめんにゃさい」
陽斗くんはしょんぼりしてみせる。
だけど、さっきの冷たい言葉を放った陽斗くんも間違いなく本人なのだと。
あたしの頭の中は、ぐるぐるとまとまらなくなっていく。